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プリズムのかけら
第1章 Naked Mind
「さっき一目惚れしちゃったから。今言わないと、またすぐ彼女できちゃいそうじゃない?だってかっこいいもん~」
一体どこまでが本気なのか掴めない。まるで高校生のような童顔に白い肌、よく見るとかなり豊満な身体つき。髪型も普通のミディアム、化粧も薄めで装飾品もなく、遊び人といった風情ではない。こいつなんなんだよ本当に……。
「うっわー、やっぱモテるなぁ神山は」
「イケメンはいいよなー」
「うっ、うるせー」
きっとからかわれてるだけだ。そう思いながら俺はグラスの酒を飲み干した。
「酔って誰にでもそういう風に絡むんですか?先輩。俺そういうの信じられませんから」
少々言い方がきついとは思ったが、けん制も必要だ。
「やだなぁ、そうじゃないよ。私一目惚れって生れて初めてだし、ここにいる他の子達には言ってないでしょう?」
「ハハハッ、俺たち立場ねーな!」
「だな!あっちの席行くか!」
「くっ……」
至って自然に、裏など見当たらないような空気でそう言われ、返す言葉が見つからない。いや待て、これも「手」なのかもしれない……、この女にきっと何人もがこうしてそそのかされているに違いないんだ……!
「だ、だからって、急に付き合おう、はないだろ?」
「じゃあもっと神山くんのこと知りたい!この後二人で飲もう?」
「ひゅーひゅー!」
うるさい外野は冷やかしながら、向こうのテーブルへとグラスを持って移動して行った。

「ねぇ神山くん、ふられた話、よかったら聞くよ?一人で溜め込んでると良くないし……、お酒飲んでるんだしさ、サーッと話して水に流してみない?」

他に話す話題もないし、確かに酔いもまわってきている。それにこの真咲愛乃は、不思議な癒しのパワー?と言うかなんと言うか、こいつになら何を言っても大丈夫、という、喋りやすくさせる空気を持っていた。壁が低い、と言うのだろうか。話の相槌や引き出し方も上手い。簡単にさわりだけ話すつもりでいた俺は、いつの間にか詳しくベラベラとサーヤとの情けないゴタゴタを聞いてもらってた。
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