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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第73章        

 宣言通り図書館に来たヴィヴィは、PCが並ぶ壁際の席の一角に座っていた。

 お行儀が悪いが、回転椅子の上に両脚を折りたたんで、乗せている。

 目で追っているのは、第二反抗期について書かれた、とあるブログ。





   12才くらいから18才くらいまでの第二反抗期。

   この時期、色々な悩みをお持ちの親が多いのではないでしょうか。

   第二反抗期は、子どもが親から精神的に独立して、

   自我を確立する戦いなのです。

   この反抗期を立派に乗り越えた子どもは、きちんと自立ができ、

   自信とゆとりを手にし、より深く、

   幅広い人間性を獲得できることでしょう。

   親にとって大事な事は、子どもの心の自立を妨げるような

   余計な行為をしないこと。

   子どもを信じて、認めてあげ、つかず離れず見守り、

   そして、上手に反抗させてあげることが必要です。

   反抗期で困る……なんて思われているお母さん、お父さん。

   子どもが自立するための、必要不可欠な通過点なのです。

   「うちの子、反抗してる~っ!!」って喜びましょう!!ヽ(´▽`)/





(うちのクリス、反抗してる~っ!!)

 ブログを読み切ったヴィヴィは、心の中でそう叫んでみたが、心は晴れない。

「はぁ……」

 ヴィヴィの薄い唇から、溜め息が漏れる。

(そっか……、クリスにも来たんだ、『大切な時期』。

 お兄ちゃんも高校生の頃、硝子の様に危うくて脆い時期があった。

 そうか……、ヴィヴィは第一反抗期、お兄ちゃん以外の家族に

 反抗してたらしいけど、クリスはきっと、ヴィヴィだけに反抗してるんだ……)

 ヴィヴィの薄い唇が、むににと横へ引き伸ばされる。

(それってきっと、ヴィヴィが一番近くにいて、

 一番深くクリスに関わって来たから……、なんだよね?

 光栄な事なんだ……。

 ヴィヴィ、傍で静かに見守って、支える事が出来ればいいな……。

 今迄ずっと、クリスがヴィヴィに、そうしてくれたように――)

 ヴィヴィはクリスが今まで自分にくれた、無償の愛情を噛み締めながら、膝の間に顔をうずめた。

「………………」

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