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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第84章             

 そしてもう、放っておいて。

 自分を使い古した人形の様に捨て置いて、ここから出て行って。

 もう心の中で責めたりなんてしないから。

 この5ヶ月の間、何人の女と寝たかも知らない昂ぶりを捻じ込まれても、文句なんて言わないから。

 押し付けられる濡れた唇。

 愛おしそうに抱き寄せられる躰。

 撫でられると安心する後頭部をあやす様に撫でられても、

 心底嬉しそうに耳元で名前を呼ばれても、

 もう何も心に響かない。

 右膝頭を包み込む大きな掌の熱さを感じた時には、躰の中心にめり込んでくる兄の昂ぶりに貫かれていた。

 ヴィヴィの瞼がゆっくりと下されていく。

 もう何も見たくない。

 最奥まで挿入され、その圧倒的な質量に躰が苦しいと呻く。

 しばらくそこで止められていた陰茎は、やがて少し引き抜かれ、律動を始めた。

 自分の躰は反応しているらしく、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が耳をつく。

 けれどそれに重なって聞こえる、シャワーが水面を叩く音で幾らか緩和されていた。

(ああ、だから、シャワーを出しっぱなしに……)

 今頃になってやっと匠海の行動の真意が分かったヴィヴィは、自分の馬鹿さ加減を呪った。

 何も感じたくなくても、突き上げられると咽喉から吐息が漏れる。

 匠海には全て知られている、自分の弱いところを重点的に擦りあげられると、嫌でも喘ぎが漏れる。

 自分の躰は心とは違い、信じられないほど匠海の愛撫に従順だ。

 まあ、今迄にそう仕込まれたという事なのだろう。

 『飴』と『鞭』を交互に与えられながら、快楽に従順な躰に仕立て上げられたのだろう。

「……ぁ、んんっ ふぁ……っ」

 薄い唇を引き結び、両手で口を覆う。

 それでも兄の巧みな腰使いに、嬌声が零れそうになる。

 さすがに焦り始めたヴィヴィは、瞼を開けると視線を彷徨わせた。

 そして洗面台の隅に何枚も重ね置かれた手拭き用のハンドタオルを見つけ、咄嗟に手を伸ばし、自分で口の中に捻じ込んだ。

 その行動の裏にあったのは、元日に着物のまま無理やり抱かれた時、兄が自分の口内に布をねじ込んで口封じをした苦い過去。

「……っ んぅっ ふぅっ」

 ヴィヴィの喘ぎ声が変わったことに気付いたのだろう。

 匠海は腰を止めると、ヴィヴィの顔を覗き込み、ふっと微笑んだ。

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