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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第84章
(お兄ちゃん……もしかして……)
もう立派に起ち上がり、鈴口から先走りの液まで滲ませた兄の陰茎。
それに手を添えた匠海は、またヴィヴィの右足を担ぎ上げ、洗面台に乗せた。
「いいか……?」
低く掠れたその確認の声に、ヴィヴィは目の前が真っ暗になった。
この状態でする事なんて一つしかない。
まだ昼間のこの時間、バスルームの窓からは明るい陽光が降り注いでいる。
こんな淫らな行為には似つかわしくない程、真っ白なタイルで装飾された静謐なバスルーム。
廊下にはこの屋敷の使用人が行き交い、ましてや壁一枚隔てた隣の部屋にはクリスがいる。
階上には両親、そして階下には祖父母や使用人、もしかしたら自分達の為に既に集まり始めているかもしれない親族達。
大分築年数の経った父の生家は、壁の厚い篠宮邸とは違いすぎる。
(いやだ……。こんなところで、したくない……)
心底そう思い視線を落としたヴィヴィの顎を、匠海の指が捕らえてゆっくりと引き上げる。
「いいか?」
再度尋ねられたその問いは、1回目のものより強く聞こえた。
いいか? って、何が――?
この状況で性行為をして「いいか?」
声を我慢しなければならないが「いいか?」
何も避妊はしないけれど「いいか?」
近親相姦をするけれど「いいか?」
「……――っ」
細い咽喉が中から締め付けられるようにぐっと締まる。
何でそんな事を確認してくるのだ。
普通に考えたら嫌に決まっているではないか。
ましてや2人は再会してまだ、何の会話も交わしていない。
こんなのはまるで、本当に性欲処理の為の『人形』の扱いじゃないのか――?
そして何よりも酷いのは、その確認。
「いいか?」だなんて訊ねてくる、その行為。
(ヴィヴィに拒否権なんて、あるの……?)
そんな物、ある筈無いではないか。
兄をその手で手折った、罪深い自分には。
「ヴィクトリア……?」
うんともすんとも言わない妹に痺れを切らしたのか、匠海が名前を呼び、自分を覗き込んでくる。
「いいよ……」
薄い唇から零れたのは、了承の言葉。
もう何も考えたくない。
何も感じたくない。
早く終わらせて。
兄が最も興奮するらしい、実の『妹』の中に全てを吐き出して果てて。