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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第84章
兄の舌と一緒に流れ込んできた体液をこくんと飲み下したヴィヴィを、匠海はよく出来ましたとでもいうように、その頭を撫でてくる。
そのキスはヴィヴィの官能を高めようと与えれたものではなく、どちらかといえばもう終わりだよと慰めるようなキスだった。
唇を離した匠海は、まだ震え続けるヴィヴィの躰を柔らかく包み込み、たまに撫でてあやしてくる。
数分してようやく落ち着いたヴィヴィの中から、匠海は陰茎を抜き取った。
傍にあったタオルで自分の蜜にまみれた陰茎を拭っていた匠海は、ヴィヴィの膣口からどろりと零れ落ちる白濁を認め、その下にタオルを寄せると、ゆっくりと中指を膣口に含ませた。
「んっ ふぅ……っ」
ヴィヴィがその緩慢な刺激に瞳を細めて声を漏らせば、
「大丈夫だよ」
と匠海が宥める。
中を辿る様にくるりと掻き回され引き抜かれた指と一緒に、兄の白濁が小さな膣口から溢れ出した。
それをタオルで受け止め拭った匠海は、洗濯籠に放り、ヴィヴィの躰を抱き寄せた。
いつの間にか自分の陰茎をズボンへと収めていた匠海と、子供っぽいワンピースのスカートを下され、着衣の乱れがないヴィヴィ。
今の2人ははたから見れば、ただ仲良く抱き寄せ合い、再会を喜び合っている兄妹にしか見えないだろう。
例えその心の中が全く正反対の澱んだものであったとしても。
匠海は何度もヴィヴィの頭を撫でてくる。
長年の付き合いで、そうすると妹が喜んで、怒っていたり拗ねていたり泣き出しそうになっていたりしても、すぐに機嫌が直ると分かっていて、そうしているのだろう。
そしてヴィヴィも抵抗しなかった。
自分は兄の『人形』。
その言葉一つに囚われたように、もう何も考えられなかった。
数分経った頃、匠海がその抱擁を解いた。
自分の顔を少し心配そうな表情で覗き込んできた匠海の、その形の良い唇から確認の言葉が零れる。
「大丈夫か?」
「…………うん」
口ではそう返しながらも、心の中では違う言葉を発していた。
何が?
何が、大丈夫――?
結局そんなことを口にする事も出来ず、そして別に答えを求めたい訳でもなく、ヴィヴィは腰を預けたままだった洗面台から降り、自分の足でバスルームの床に立った。