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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第85章
(ああ、もう、いやぁ……っ ベッドで、東京のお兄ちゃんの寝室で、ゆっくり抱かれたいっ)
腰を止めた匠海に、ヴィヴィはとんでもない事を思いながら、苦しそうに瞳を細めた。
もう諦めたのかゆっくりと抜き取られていく匠海の陰茎に、心底名残惜しそうに絡み付く自分の浅ましい粘膜。
にゅぽっと卑猥な音を立てて抜かれた兄の昂ぶりに、ヴィヴィの背中ががくりと下へ落ち込む。
自分の口から手を離してバスタブから出た匠海を、ヴィヴィはゆっくりと振り仰いだ。
(やめる、の……?)
数分前の自分からは想像も付かないほど、ヴィヴィは兄から与えられる快楽の虜になっていた。
「なんて顔して……。ほら、おいで」
その時の自分の顔は、兄が言うように酷いものだったろうと思う。
汗と湯で濡れた額や頬に張り付く金色の髪に、泣き出す一歩手前の情けない表情。
きっとその瞳は盛りの付いた雌の様に、飢えを滲ませていただろう。
優しく掴まれた二の腕を引き上げられ、ヴィヴィは咄嗟に兄の首に抱き着いた。
「ああ、なんて、可愛いんだ……っ」
驚いた事に、目前の兄の目には、今の自分は可愛く映ったらしい。
「おにいちゃぁん……」
それならばと極めつけに甘ったるい声でその名を呼んでみれば、火が点いたらしい兄は欲情の限りを尽くしてきた。
シャワーヘッドから最大量の湯を吐き出させ音消しをすることだけは、決して忘れなかったが。
洗面スペースとバスルームを仕切るガラスの壁に背中を押し付けられたヴィヴィは、左足を担ぎ上げられて匠海のもので深くまで貫かれた。
「はぅう……っ」
自分の躰を喜ばせてくれる待ち侘びた兄の陰茎に、ヴィヴィは細い喘ぎを漏らす。
「キス、しよう?」
「……う、ん……」
まるで恋人同士のように甘く囁いてくる兄に、ヴィヴィも素直に頷き、ゆっくりと唇を重ね合わせる。
気持ちいい。
もうその事以外、何も考えられない。
匠海は多分、物凄くセックスが上手いのだと思う。
ヴィヴィは兄以外の男の躰を知らないが、たった数分で頑なだった自分をこれ程まで蕩けさせ従順にしてしまったのだから、相当なものなのだと思う。