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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章                  

(そうだ……。ヴィヴィも、そう思った……。お兄ちゃんのベッドで、何も気にせず、お兄ちゃんの全てを感じながら、抱かれたいって……っ)

「ヴィクトリア。ごめん……、もう止められないっ」

 もう我慢ならないと苦しそうな表情でそう発した匠海に、ヴィヴィは静かに頷いた。

「……うん……。分かってる……」

 止めるなら、「拒否して」と言われたときに止めるべきだった。

 ここで匠海を拒絶するのは、あまりにも酷いだろう。

「ピル、飲んでる?」

「え、うん……」

 匠海が帰国する事を分かっていて、ヴィヴィはきちんと毎日ピルを常用していた。

 それしか自分の身を守る手立てがない――そう、思い詰めていたから。

「じゃあ中で出すぞ?」

 そう確認してくる兄の声音は、確認というよりも宣言に聞こえた。

「な、中は……、出しちゃダメっ」

 ヴィヴィは困惑して小さくかぶりを振る。

「どうして?」

 そう尋ねてくる匠海の顔は、とても哀しそうで、ヴィヴィは心の中で「ずるいっ」と突っ込んでしまった。

「よ、夜、リンク、行くし……」

「垂れてきそうって?」

「…………うん」

(自分で掻き出すの、怖い……。哀しくなるし、出来ればもうしたくないの……)

 兄にして貰うと気持ちいいその行為が、何故か自分でやると痛くて怖くなってしまうのだ。

「ヴィクトリアの中でイきたい。お前の全てを感じながら果てたいんだ。後で俺が掻き出してやる。……駄目か?」

 切なそうに自分を見つめてくる匠海に、ヴィヴィの心が揺らぐ。

「……ほ、本当に……?」

「ん? もちろん、嘘なんて吐かない」

「あ、後で……し、してくれるなら、……いい、よ……?」

 避妊はしているので、兄が後で漏れないようにしてくれるのならば、ヴィヴィもどちらかというと、中で兄の全てを感じたかった。

 特に、今日の兄のものは――。

「ありがとう、ヴィクトリア。じゃあ、制服が皺にならないように、俺の上、跨って?」

 心底嬉しそうに微笑んだ匠海に、ヴィヴィは言われた通りに兄の腰の上に跨り膝立ちになった。

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