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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第90章           

「ヴィクトリア……。お前は本当になんていい子なんだろうね」

 慈しむような暖かな声でそう囁かれ、ヴィヴィは後ろから貫かれたまま、不思議そうに兄を見上げる。

「ヴィヴィ、いい子……?」

(それ、お兄ちゃんの“言いなり”だからいい子なんじゃ……?)

「ああ、とってもね。じゃあ、お前をいっぱい気持ち良くしてから、出すな?」

 柔らかく腰を撫でながらそんな恐ろしい言葉を寄越した匠海に、ヴィヴィの可愛らしい顔が引き攣った。

「え……。えっと、ヴィヴィは、もう、いいです……」

(それより早く、解放して欲しいんです……)

「はいはい。ほら、おいで」

 その酷いあしらい方に、ヴィヴィは心の中で「聞けよっ!」と口汚く罵ったが、上半身を抱き上げて匠海の腰の上に後ろ向きに跨らされると、ふっと躰の力を抜いて兄の逞しい胸に凭れ掛かった。

「……ヴィヴィ、これ……、好き……」

「ん? 抱っこ好きか?」

 そう耳元で囁きながら両腕で抱きしめてくれる兄に、ヴィヴィは躰をすり寄せて甘えた。

「ん……。お兄ちゃん、くっつくの、大好き……」

(お兄ちゃんと触れ合うの、ぴったりするの……ほっとする……)

「甘えん坊なところも、可愛いよ」

「お兄ちゃん……気持ち良くなって?」

(但し、あと1回だけね……?)

 胸の中でそう付け加えながら、ヴィヴィは後ろの匠海を振り返った。

「ありがとう、いい子だね。もう十分気持ちいいよ」

 嬉しそうにそう囁いて頬ずりしてくる匠海に、ヴィヴィはさらに甘えてみた。

「じゃあ、もう終わってもいい……?」

「それはダメ」

「………………」

 結局その後、何度もイかされたヴィヴィは、もうぐったりして失神寸前のところで匠海に出され、本当に失神してしまったのだった。 






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