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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第92章            

 しかし実際は違っていたらしく。

「はは、本当にKitty(子猫)みたいだ。ふ、くすぐったいっ」

 こそばゆくて躰を捩っていただけだった兄に、ヴィヴィは心の中で「ちえっ」と呟き、腹いせにその首にかぷっと噛み付いておいた。

 兄の首筋から顔を退けたヴィヴィを、匠海が覗き込んでくる。

 そしてまだナイトウェアを纏ったままだったヴィヴィの上半身を肌蹴させた兄は、小さな乳房をねっとりと片手で揉み始めた。

「ゆっくり出し入れしような? ヴィクトリアを沢山感じたいから」

「う、うん……」

 恥ずかしくてどもったヴィヴィを、匠海がにっと嗤いながら見下ろしてくる。

「それとも、激しいほうが好きか?」

「ううん。今は、ゆっくりがいいの……」

 瞳を細めてうっとりとヴィヴィは囁く。

(ヴィヴィも、お兄ちゃん、いっぱいゆっくり、感じたい……)

「いい子だ。ヴィクトリアの中、柔らかくて、凄く暖かいよ……」

 ヴィヴィの暖かなそこを優しく突きながら、小さな乳房をこの上なく大切な宝物の様に、優しく触れてくる匠海の指先。

「お兄ちゃんも、暖かいの……」

 半身に触れている兄の逞しい体躯も、両膝を纏めている腕も、敏感な尖りに優しく触れてくれる指先も、与えてくれる口付けも、切れ長の瞳から注がれるその視線も。

 全てが暖かく、柔らかく、心地良い。

 まるで今の自分は、暖かな湯煎でゆっくりと丁寧に蕩かされていくチョコレートの様――。

 その自分の思い付きに、ヴィヴィはくすりと笑う。

(食べてね……。蕩けさせるだけじゃなくて、責任もって、全部、食べちゃってね……?)

 例え手がべとべとになって汚れても、口元にこびり付いてしまったとしても、自分が舐め取ってあげるから。

 だから責任取って、お腹一杯になっても、ヴィヴィを食べ尽くして。

「どうした?」

 不意に笑ったヴィヴィが気になった様で、匠海が不思議そうに覗き込んでくる。

「ん……。ヴィヴィもお兄ちゃん、食べたいなって思ったの」

「俺が食べたい? いいよ――」

 そう答えた匠海は、何故かヴィヴィの片足をひょいと引き上げると、繋がったまま自分の腰に跨らせた。

「……え……?」

 瞳をぱちぱちと瞬かせるヴィヴィの目の前で、何故か兄はベッドに背を倒してしまった。

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