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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第25章                          


『勝利の女神――といったところでしょうか(笑) ヴィクトリア選手も本日の夜、SPが控えています。その妹の手を軽く握ってリンクへと飛び出して行きました……時間をいっぱいに使って心を落ち着けます。果たして、シニアでもFPで二つの四回転を飛ぶことが出来るか――クリス篠宮。曲は映画Catch me if you canサウンドトラックより』







 クリスがスケートアメリカを初制覇したその日の夜。

 ヴィヴィはSPの六分間練習でリンクに立っていた。

(まさか……ドローイングで一番滑走を引いてしまうとは……)

 くじ引きで参加選手十人中の一番を引いてしまったヴィヴィは、複雑な表情でもくもくとアップをしている。ジャンプの軸を確認しトリプルアクセルを飛ぶと、ヴィヴィは残り一分を残してフェンス傍のコーチの元へと戻った。すぐに滑走となるので、休憩しておかなければならないのだ。

 ジュリアンとは特に会話らしい会話もせず鼻を噛んだりしていると、ジュリアンの隣に立っているクリスにぽんと頭を撫でられた。

「やっぱりいいね……その衣装……」

 ヴィヴィの纏った白い衣装を見ながらクリスが呟く。Vの字に深く胸が開いたシンプルなそれはハイウエストのまるで着物の帯のような幅広の黒い生地で腹部を覆っている。スカート部分も白色で一見シンプルだが、これには細工が施してある。

 表層の白い布には海の荒波を模した透かし織りが施され、動くとその下の幾重にも重ね合わされたグレーやライトグレーの布が透かし部分から浮き彫りになる仕組みになっている。ただしそれだけだとシンプルすぎるので、刺し色として桜色の生地が単衣(ひとえ)忍ばせてある。

 振付師の宮田先生のアドバイスを元に、衣装を発注した店のデザイナーとヴィヴィが何度も試行錯誤を重ねて作った衣装だった。

「ありがと」

 はにかんでそう呟いたヴィヴィの耳に、六分間練習終了のアナウンスが入る。ぞくぞくとリンクから引き揚げていく選手達を横目に、ヴィヴィはクリスに両手を差し出した。

「………………?」

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