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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

 その中でも、前回の平昌五輪に出たメンバー達は、口を揃えて宣言したのだった。

「絶対に、団体で(4年前の)銅よりも、良い色のメダルを獲ります!!」

 頼もしい日本チームのメンバーに、観客は大いに喜び、盛大な拍手を贈ったのだった。






 クリスマスイブだったその日は、五輪メンバー全員が、深夜までテレビに引っ張りだこだった。

 会場の長野市と東京のスタジオと中継が引かれ、皆が楽しそうに質問に答えていく。

 その中で、「今したいことは何ですか?」という質問には、ほとんどの選手が口を揃えて「ちょっとゆっくりしたい」と零し。

 同じ質問を投げられたヴィヴィも、

「家に帰って、鬼瓦……海水魚に餌あげて……。癒されたいです……(´Д`;)」

 そう、へろへろの声で答えたのだった。





 翌日、12月25日(日)も、早朝から取材やらテレビ局との中継があり。

 午後からは、夕方に行われるメダリスト・オン・アイス(派遣選手壮行会 & エキシビション)の為に、五輪代表チームのグループナンバーの振付を受けたりと、慌ただしかった。

 昨夜、ホテルで匠海からのメールに気付いたヴィヴィは、返信中に寝てしまい。

 隙を見て、クリスマスの挨拶と、全日本の応援のお礼を送った。

(……ええと、「ヴィヴィより、愛を込めて♡」 ……なんちゃって、くふふっ)

 リンクの端でひとり にまにまする気持ち悪いヴィヴィを、誰かが呼ぶ。

 振り返った先にいたのは、お待ちかねの人だった。

「今(こん)せんせ~~いっ!!」

 スマホを片し、両手をぶんぶん振って滑って来るヴィヴィに、舞台から降りてきた白砂も軽く手を上げた。

「お、目線が近い」

 フェンス越しに向き合った白砂は、いつもなら20cm下にある筈のヴィヴィの頭に、新鮮そうに驚く。

「スケート靴を履くと、そうなるんですよね~、えっへん」

 ブレード、靴のヒールを合わせると、約9cmの高さになる。

 何故か自慢げに胸を張るヴィヴィに、 

「なんか、新鮮」

 そう言って白い頬を軽く抓った白砂は、「準備整ったら、打ち合わせしよう」と舞台へと上がって行った。

 舞台――つまり、このメダリスト・オン・アイスは、生演奏とスケーターのコラボレーションが観られる、贅沢なショー。

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