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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章              

 本人の意思には関係なく、簡単に高みに昇る躰。

 常ならば、一度達すればある程度は落ち着くのに、

 “えっちな日” のヴィヴィは、イク度に欲求が膨らみ、貪欲に兄だけを求め続ける。

 むずむずするそこに単調に出し入れさせられるだけで、涙が零れ落ち。

 動きを止めて抱きすくめられると、膣裏に感じるどっしりとした兄の重みに、勝手に腰が動いて匠海を悦ばせてしまう。

 兄の全てがヴィヴィを泣かせに来て、全ての刺激が愉悦だけを生み出していく。
 
 その後、失神してしまうまで、ヴィヴィは何度も兄を欲し、

 匠海は汗だくになりながら、妹を悦ばせ続けたのだった。

 





 その翌週末――1月28日(土)。

 五輪開会式を10日後に控えた日も、ヴィヴィは匠海と愛し合っていた。

「オリンピック前に何やってんだ!」と怒られそうだが、それくらい許して欲しい。

 この1週間、スポンサーの壮行会と、東大が開催してくれた壮行会に出席しながら、講義も出席し。

 学期末試験の勉強もし、もちろんリンクでは死に物狂いで最後の調整を続けてきたのだ。

 しかも、たぶんこれがきっと最後になる。

 来週の月曜から始まる学期末試験、

 五輪の団体戦・個人戦。

 進級のための3年専門科目試験

 そして、極めつけの世界選手権。

 それらが終わるまでの1ヵ月半――兄妹が躰を繋ぎ合せるのは、ほぼ不可能だろう。

 互いに感じ取っていたからか、匠海とヴィヴィはいつもより執拗に相手を味わい、確かめ、覚え込もうとしていた。

 離れていても淋しくない様に。

 それぞれがなすべき事を、それぞれの場所で励める様に。

 だから束の間でも、恋人の息遣いを感じて、吐息を重ねて、愛を囁いて確かめ合う。
 
 互いの汗でしっとりとし、柔らかくなったシーツの上。
 
 繋がったまま横になり、先程までの激しさで乱れた息を整え合う。

 ゆるく抱き寄せられる腕が心地良くて、ヴィヴィは額をすりすりと兄の広い肩に擦り付けた。

(うふ。ヴィヴィの、おにいちゃん♡)

 マーキングを模したその愛らしい戯れに、匠海から笑いが零れる。

「甘えん坊め」

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