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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第31章
『明日の団体戦、ヴィヴィとクリス、滑ることになった!!!!』
メールの送信相手はもちろん匠海だ。ヴィヴィ達が平昌入りしてからも何かと気にしてメールをしてくれる匠海に、ヴィヴィは真っ先に団体戦への出場を伝えたかったのだ。
(秘密を守れる近しい家族にしか、言っちゃいけないんだけど……)
匠海は絶対に他言したりしない筈だ。ヴィヴィはスマートフォンをサイドテーブルに置くと、ダブルサイズのベッドの端に腰かけて入浴するために上着を脱いでいく。すると匠海専用のメール着信音が寝室にピルピルと鳴り響いた。ヴィヴィは瞬時にスマートフォンを取り上げメールを開く。
『明日、現地に応援に行くよ。初戦頑張れ』
「―――っ!!」
ヴィヴィはベッドに背中からボスンと大きな音を立てて倒れこむと、寝転がってバタバタと両手足をバタつかした。
(お兄ちゃんが! お兄ちゃんが、団体戦にまで来てくれるなんて――!!)
個人戦は応援に来ることが決まっていた匠海だが、まさか出場するかどうか分からない団体戦まで現地に駆け付けてくれるとは思わなかった。胸の中に広がる嬉しさと高揚感に、ヴィヴィは胸の上にスマートフォンを乗せて、その上からギュッと抱きしめる。
「絶対、いい演技するね、お兄ちゃん……」
幸せで顔が緩み切ったヴィヴィはそう呟いて首元に手を伸ばす。指先に触れる小さなペンダントトップを摘み上げてそれにチュッとキスをする。馬蹄をかたどった金色に輝く小さなそれ――。
「だから、幸運のラッキーチャーム。ヴィヴィに力を貸して――?」
ヴィヴィはそう言ってまた自分の体をぎゅっと抱きしめると、明日に備えて早く寝ようと部屋に備え付けのバスルームへと消えていった。