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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第114章 ★★2015年 バレンタイン企画★★

 だから今回 駄目だったとしても、

 それはそれで「需要と供給が嚙み合わなかった」というだけで。



 そう、必死に自分自身に言い聞かせるも。

 元気で可愛い双子が、少しずつ自分に心を開いてくれ。

 朝比奈 自身、

「傍でお世話をしてみたい」

「これからの成長を見てみたい」

 そんな気持ちが ふつふつと芽生え始めているのも事実で。



 だから、

 軽く肩を落とした朝比奈の傍、ぱたぱたと駆け寄る音がして。

 白い手袋越し、柔らかで暖かな感触を、両手から感じた瞬間。

「……――っ」

 あまりに驚いて目を見張った視線の先、

 双子仲良く こちらを見上げている姿が視界にあった現実に、

 朝比奈はしばらく ぽかんとしてしまったのだ。



「判りました。林さん、こちらへ」

 五十嵐に促され、礼をして退室していく林。

 その姿に軽く会釈を返した途端、左腕を下から くんくんと引かれた。

「お嬢様? どうされました?」

 繋いだ手を引っ張るヴィヴィに、軽く腰を屈めれば、

 小さな両手を執事の耳に押し当てた幼女は、コショコショと内緒話を吹き込む。

「あのね? んっと……クリスと遊んでくれて、ありがとう!」

「……~~っ」

 あまりにも無邪気なお礼の言葉に、朝比奈は絶句するしかなかった。



 やはり。

 やはり この子は、


 “大人しい双子の兄を看てくれるのは、どちらの執事か?”


 それを つぶさに観察し、

 あの小さな頭の中で、冷静に判断を下していたのだ。


 何故ならば、

 この1時間の面接中、彼女の視線を感じたのは、

 自分と林が各々 “クリスの傍にいた時だけ” だったのだ。


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