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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第114章 ★★2015年 バレンタイン企画★★
ガラに合わない口汚い声を心中で上げつつ、何とかかんとかクリスを起こした朝比奈。
半分 目が開いていない幼児に顔を洗わせ、お着替えをさせ。
まだ「イヤ」と抵抗するネグリジェ姿のヴィヴィを左腕に抱っこし、
半分 夢の中――なクリスを右手に繋ぎ、階下へ降りれば。
ヴィヴィ「お魚、キライっ」
朝比奈「骨はお取りしますから。クリス様~、起きて下さい」
クリス「……(- -) zzz」
ヴィヴィ「もう、いらないっ」
朝比奈「お嬢様、全然食べてないじゃないですか。ク、クリス様~(略)」
クリス「…… (- -) zzz」
朝比奈「……(勘弁して)……」
結局、口を真一文字に結んでしまったヴィヴィは、朝食を食べず仕舞いで。
クリスに至っては、テーブルに突っ伏して寝てしまっていた。
「朝比奈、ちょっと……」
あまりの状態に見兼ねたのか。
当面 新米執事の教育担当をすることになった五十嵐が、手招きした。
「……い、いつも、お2人は こんな感じですか?」
若干 疲労を滲ませる朝比奈に、先輩執事は首を横に振る。
「いいえ。まあ、クリス様の低血圧はいつもの事ですが。ヴィクトリア様のグズりようは、私も初めて拝見しました」
「……そ、そうですか……」
その後、五十嵐の手を借り、ヴィヴィのご機嫌を取りながら着替えをさせられたものの。
ランチタイムでも「イヤ」を連発するヴィヴィに、
2人の執事は ようやく現状を悟った。
これは、世にいう “イヤイヤ病” を発病したな――と。
それからというもの、ヴィヴィは “イヤイヤ病” を患い続け。
その対象は誰彼構わず、だった。
父親であるグレコリーは、子供達を猫可愛がりしていて、
「そうか~♡」
「しょうがないな~♡」
と甘やかし放題で当てにならず(失礼)
母親であるジュリアンは、双子のスケートコーチも兼任している為か、
「あ゛ぁ!? どの口が「イヤ」って言ってんの!?」
「~~~っ 皆! もう、ヴィヴィは放っておいていいわ!」
とイライラ爆発で、娘をガン泣きさせるし。