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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第114章 ★★2015年 バレンタイン企画★★
家令も、料理長も、どの執事もメイドも。
“悪魔の3歳児期” のヴィヴィに、ありとあらゆる人間が振り回されていた。
(う~~ん。だから、求人情報の《募集要項》に、あの様に書いてあったのですね……)
たった3週間前に目を通した、篠宮の《募集要項》
そこに書かれていた「求める人材」を思い起こせば、
・体力のある方
・子供好きな方
そう、きちんと特筆すべき事項は記述されていたのだ。
「………………」
(と、とにかく、頑張れ自分!)
毎朝、自らを鼓舞し奮い立たせた朝比奈は、
お仕着せの黒スーツに黒エプロンの標準装備で、双子との格闘場(?)へと向かうのだった。
朝比奈「お着替えしましょうね」
ヴィヴィ「イヤっ」
朝比奈「…(負けません)…。では、こちらとこちら、どちらにしましょうか?」
ヴィヴィ「どっちも、イヤっ!」
朝比奈「では、私がこのピンクのお洋服、着ちゃいますよ~?(ナンテネ)」
ヴィヴィ「どうぞどうぞw」
朝比奈「…(カラダ ハイリマセン)…orz」
匠海「ダチョウ倶楽部……?」
クリス「……(- -)zzz」
ありとあらゆる育児書を読み漁り。
フランスの母親にも、泣く泣く助言を求め。
「イヤイヤ虫、一杯ついてますね~? ほら、1個 取っちゃいました~」
「イヤイヤ言ってると、秋田から「わるいごはいねえがぁ~4(`Д´4)」と、なまはげが来ますよ?」
等と、あらゆる手法でヴィヴィを宥めすかせる日々。
おかしいな……。
自分は執事 もとい サービスのプロになりたかったのであって、
保育士を目指していた訳では……。
新社会人にありがちな “理想と現実との乖離” に、陰で頭を悩ませ続けた朝比奈。
それでも続けられたのは、控えめながらも ひたむきに慕ってくれるクリスの存在と。
何故か6歳上の匠海だけには “イヤイヤ病” を発動しなかったヴィヴィが、
「おにぃちゃまぁ~~♡ すき~~♡」
そう甘えた全開時に見せる、天使の如き満面の微笑み――
それを陰ながら目にする事が出来たからであろう。