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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第38章
ヴィヴィは裾を手に取って笑みを浮かべる。ショートパンツはルームウエアで着たりするので、それほど抵抗感はなかった。
「試着して見せて」
斜め後ろで一部始終を静観していた匠海が、そう言って後ろからヴィヴィを覗き込んでくる。
「え……で、でも……」
躊躇するヴィヴィの背に腕を回し、匠海が試着室と思われる扉の前へと連れて行く。
「そうだよ~、カレシの言うとおり、試してみないとわかんないって」
店員はそう言うと試着室の扉を開けてフックにショートパンツを掛けると、文字通りヴィヴィを中に押し込んだ。
「お客サン、ワンピースだから、ショーパンに合いそうなトップス、持ってくるね~」
「は……はい……」
あまりの強引さにあっけにとられたヴィヴィがそう呟くと、扉が閉められて一人取り残される。
(……な……なんでこんなことに……っていうか――)
「か、彼氏って……」
ヴィヴィはそう小さく呟き、頬に両手を当てる。目の前の姿見に映った自分の顔は、見る見る赤くなっていく。
「まず、これと合わせて~!」
いきなり扉を開かれ、先ほどの店員がフックにトップスを掛けてまた出て行った。閉められた扉の向こうから、
「着れたら外出てきてね~」
と声が掛けられる。
「は、はあ……」
ヴィヴィはそう言いながら、取りあえず扉の鍵を掛けた。
(なんか……試着しないと出してもらえない感じ……?)
諦めの境地でしぶしぶノーカラーのコートとワンピースを脱ぐと、渡された服に袖を通した。姿見に映った自分をしげしげと見てみる。
大きくスクエアに開いた襟にボヘミアン様な刺繍が施された薄緑のチュニックは、腰の辺りで絞られているのでメリハリがついてショートパンツとよく合っている。
「着れた~? 開けていい~?」
外から店員にそう催促され、ヴィヴィは開錠して恐るおそる試着室の扉を開いた。外に出るように促され、自分のサンダルを履いて外へと出る。
「うっわ! 足ほっそ!!」
まず第一声で店員にそう驚かれた。ヴィヴィは露出した太ももを恥ずかしそうに手で隠し、困ったように匠海を見つめる。
「可愛い。春らしくて、よく似合ってる」