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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第7章        

「とにかくヴィヴィ。こんな所で、しかも授業中にしていい話じゃないの。ランチタイムまで我慢しなさい!」

「ふぁ~い……」

 ヴィヴィは唇を尖らせると、すごすごと自分の班に帰って行った。








「――で、なんで?」

 ランチタイム。

 2人は裏庭の芝生の上で、ランチボックスを開いていた。

 そこにいつもなら一緒にランチをとる、クリスの姿はない。

 授業の終わりを告げるチャイムが鳴った途端、カレンが

「ごめん、クリス! 今日は2人で、ランチとるからっ!」

とクリスに謝りながら、ヴィヴィの首根っこを掴み。

 脱兎の如く、教室を後にしたからだ。

 さすがにヴィヴィの名誉を考えると、己の双子の兄の前で『婚前交渉の是非について』語り合うのは、

 今は恥ずかしくないかも知れないが、大人になってからこっぱずかしい、消したい記憶になるだろう。

 カレンがこんなに苦心しているのに、当の本人は、

「カレンのサンドウィッチと、ヴィヴィのおにぎり、交換しよう?」

と呑気に、ランチボックスに手を伸ばしてくる。

 食欲など無くなったカレンは、ランチボックスを親友へ押し付けた。

「はぁ……、1つ聞くけど――いや、いっぱい聞くけど。ヴィヴィはセックスについて、どこまでの知識があるの?」

「セックス?」

 ヴィヴィが可愛らしく首を傾げながら、宙を見上げる。

 その両手には、しっかりとサンドウィッチが握られている。

 まさに、色気より食い気――。

「う~んと、セックス――つまり性行為とは、男性の精子を女性の卵子に届け、受精させるための行為――言わば妊娠出産の為の行為」

 言っている事は間違ってはいないが、

「って、具体的には?」

「具体的? どうやって受精させるかってこと?」

 うんうん頷くカレンに、ヴィヴィは即答する。

「男性器を女性器に挿入して、精子を送り届けるんでしょ? つまりペニスを膣に入れる?」

 芝生の上に佇む2人に涼しい風が吹き、少女達の金髪をそよがせる。

 どこからどう見ても、うら若き乙女のランチタイムの図だ。

 会話は全く以て、似つかわしくないが――。

「なんだ。ちゃんと知ってるじゃない」

「そりゃあ、授業で習ったじゃない?」

 それもその筈。

 BSTでも初等部高学年から、性教育を行っていた。

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