この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第7章
「とにかくヴィヴィ。こんな所で、しかも授業中にしていい話じゃないの。ランチタイムまで我慢しなさい!」
「ふぁ~い……」
ヴィヴィは唇を尖らせると、すごすごと自分の班に帰って行った。
「――で、なんで?」
ランチタイム。
2人は裏庭の芝生の上で、ランチボックスを開いていた。
そこにいつもなら一緒にランチをとる、クリスの姿はない。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴った途端、カレンが
「ごめん、クリス! 今日は2人で、ランチとるからっ!」
とクリスに謝りながら、ヴィヴィの首根っこを掴み。
脱兎の如く、教室を後にしたからだ。
さすがにヴィヴィの名誉を考えると、己の双子の兄の前で『婚前交渉の是非について』語り合うのは、
今は恥ずかしくないかも知れないが、大人になってからこっぱずかしい、消したい記憶になるだろう。
カレンがこんなに苦心しているのに、当の本人は、
「カレンのサンドウィッチと、ヴィヴィのおにぎり、交換しよう?」
と呑気に、ランチボックスに手を伸ばしてくる。
食欲など無くなったカレンは、ランチボックスを親友へ押し付けた。
「はぁ……、1つ聞くけど――いや、いっぱい聞くけど。ヴィヴィはセックスについて、どこまでの知識があるの?」
「セックス?」
ヴィヴィが可愛らしく首を傾げながら、宙を見上げる。
その両手には、しっかりとサンドウィッチが握られている。
まさに、色気より食い気――。
「う~んと、セックス――つまり性行為とは、男性の精子を女性の卵子に届け、受精させるための行為――言わば妊娠出産の為の行為」
言っている事は間違ってはいないが、
「って、具体的には?」
「具体的? どうやって受精させるかってこと?」
うんうん頷くカレンに、ヴィヴィは即答する。
「男性器を女性器に挿入して、精子を送り届けるんでしょ? つまりペニスを膣に入れる?」
芝生の上に佇む2人に涼しい風が吹き、少女達の金髪をそよがせる。
どこからどう見ても、うら若き乙女のランチタイムの図だ。
会話は全く以て、似つかわしくないが――。
「なんだ。ちゃんと知ってるじゃない」
「そりゃあ、授業で習ったじゃない?」
それもその筈。
BSTでも初等部高学年から、性教育を行っていた。