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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第58章          

「え……? あ……」

 匠海との睦事を思い出していたヴィヴィの頬が、さっと朱に染まる。

(ヴィヴィったら、何考えて……っ)

「え、えっと、ヴィヴィは、いいや……。クリス、泳いだら?」

 ヴィヴィはさっと匠海から視線を外すと、隣のクリスを見上げる。

「ヴィヴィが、入らないなら、僕もいい……」

 クリスのその答えに、匠海はスイムキャップとゴーグルを着けると、プールの中に入ってしまった。

「え~、ヴィヴィ達、一緒に泳ごうよぉ~」

 すでにプールに浮き輪でぷかぷか浮いていたジムが、悲しそうにそう誘ってくる。

「う~ん……。あ、そうだ! ヴィヴィ、寝る前にちょっとだけ泳ごうかな~」

「それだったら、勉強時間も、確保できる……」

 クリスのその言葉に、サラが続く。

「私達もまた夜に泳ごうか? ジム」

「うん。やった~!」

 無邪気にそう喜ぶジムに、ヴィヴィが微笑む。

「じゃあ、夜迎えに行くね?」

 ヴィヴィがそう言うと、二人は「OK」と返してきた。

「じゃ、後で……」

 クリスがそう言って、プールから出て行く。それに従ったヴィヴィは、何故か強い視線を感じ、出口でふと後ろを振り返る。

「……――っ」

 視線の先、プールの縁に凭れ掛かった匠海がゴーグルを外し、その灰色の瞳でヴィヴィのことを射抜くように見つめていた。

 途端にヴィヴィの躰がかっと熱くなる。

 水着姿でなくても、ヴィヴィの躰がワンピース越しに視姦されていると感じる程、その瞳は強いものだった。

(お兄ちゃんに、視られてる……)

 ヴィヴィの華奢な躰がぞくりと震え上がる。

 ヴィヴィは何故かその視線が物凄く恐ろしく感じ、ぱっと視線を外すとプールから出て行った。





 その日の夜。

 ディナー後も勉強を頑張った双子は、サラ姉弟を迎えに行き、約束通りプールへと向かった。

「わ~! ヴィヴィの水着、今年も可愛いね!」

 サラがそう手放しで褒めてくれる。

 去年は三角水着の全面がフリルで覆われているものにしたが不発だったので、今年はハイビスカス柄の水着の上にさらに、ハーフカップでニット素材のレースの水着が覆っているものにしてみた。そしてワイヤー入りなので、寄せればほんの少しだけ谷間が出来ないこともない。

 色は膨張効果を狙って、パステルカラーだ。

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