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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第11章
後にはヴィヴィ1人だけが、ぽつんと残されていた。
後数日で10月になろうというのに、晩夏のねっとりした熱気が華奢な身体に纏わり付く。
ジャンナには、何もかもお見通しなんだ。
ヴィヴィが何を想いながら、シャコンヌを弾いていたのかも。
私が今『何』を見ているのかも――
「………………」
タクシーの行方を追っていた灰色の双眸が、徐々に地面へと落ちていく。
暫く、ヴィヴィはその場から動く事さえ ままならなかった。
が、やがて白い頬を両手でぴしゃりと叩き気合を入れると、しっかりと顔を上げ。
自分の成すべき事を成す為に、リンクに向けて脚を踏み出した。