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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第66章
匠海が帰国した翌日――12月26日。
双子は23日まで全日本選手権という激戦が繰り広げられていた会場、埼玉スーパーアリーナにいた。
メダリスト・オン・アイスという、来年行われる世界選手権、四大陸選手権、世界ジュニア選手権の代表選手の壮行会を兼ねた、エキシビションに参加するためだ。
9時に会場入りした双子は準備を済ませ、他の選手達と雑談したりして過ごし、10時からオープニングアクトとフィナーレの振り付けや、全ての通しのリハーサル等と、昼休憩を挟みながら行っていた。
(と、取りあえず、体調は万全……)
ヴィヴィは17時開演に向けて、メイクや着替えを終えると、廊下のベンチに座り込んだ。
ちょっと気を抜いた途端、昨晩から今朝にかけての記憶が脳裏によぎり、ヴィヴィは頬を赤らめて俯いた。
昨日熟睡していた自分を匠海の寝室へと運び、事に及んだ兄は、何度もヴィヴィを気持ちよくさせてくれた。
そして約束通り、気を失ってしまった自分を(おそらく匠海のバスルームで)、全て綺麗にしてくれた後、ヴィヴィの寝室へと寝かしつけてくれていた。
今朝、自分の寝室で目覚めたヴィヴィは「夢だったのかな?」と首を捻ってしまったが、出掛けるために着替えようとした時になって、「夢じゃなかった……」と身を以て思い知った。
(きっ、ききき、キスマーク、が……、あ、あんなところに――っ)
昨晩、散々焦らされて何度も吸い付かれた太ももの内側――足の付け根の辺りに、赤い内出血が幾つもあったのだ。
(こ、これ……更衣室とかで見られたら、モロバレだから……っ)
勿論、細心の注意を払って着替えを済ませたヴィヴィは、誰にも見られることはなかったが。
(う、嬉しいんだよ……? お兄ちゃんに抱いて貰った、あ、証し……みたいなものだから……)
ヴィヴィは誰も見ていないし聞いていないのに、一人で頭の中で言い訳していた。
「あ、ヴィヴィ~! さっき、超絶美形のお兄様、来てたよ~! ご挨拶しちゃった!」
ストレッチルームから兄のアルフレッドと一緒に出てきたマリア渋谷が、ヴィヴィを見つけて、そう教えてくれる。
「あ……、ほ、ほんと?」