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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第69章          

 また堪え性がないと言われるかと思ったが、匠海は嬉しそうに見下ろして来てくれた。

「そんなに、気持ちよかった?」

「……うん……。ヴィヴィ、お兄ちゃんに抱きしめられるの、大好きっ」

 そう言ってまた腰に巻きつけている両腕に力を込める。

「甘えん坊だからな?」

「それもあるけれど……、お兄ちゃんが大好きだから、だもんっ」

 ヴィヴィはそう言って、可愛らしく唇を尖らせた。

「可愛い事、言って」

 匠海は妹を宥める様に、両手で背中や腰を優しく撫でてくれていたが、少し落ち着きを取り戻したヴィヴィは、兄を見上げ、うっとりと呟いた。

「ねえ、お兄ちゃん……、ちょうだい? 奥、温かいの、いっぱい欲しいの」

「ああ、ヴィクトリアは本当に、エッチだな。じゃあ、脚、離してごらん?」

 匠海はそう言って、洗面台の上の妹に拘束を解くように促したが、ヴィヴィは聞く耳を持たなかった。

「や……っ! このまま、欲しいのっ」

 もう、1ミリたりと、離れたくない。

 前半身がぴったりと隙間なく合わさり、匠海のものもヴィヴィの最奥で打ち震えている。

 信じられない程の安心感を与えてくれるこの状態で、匠海の全てを感じたかった。

「ふ。この我が儘娘が」

 そう言って顎でこつりとヴィヴィの金色の頭を小突いた匠海は、苦笑していた。

「嫌い……?」

(我が儘なヴィヴィ、嫌い……?)

「大好物だよ。でも、いいのか?」

「え……?」

 不思議そうに匠海を見上げたヴィヴィに、兄は少し心配そうに返してくる。

「先っぽ……、ヴィクトリアの子宮に、届いてる。もっと入れたり、擦り付けたら、痛いだろう?」

 その匠海の優しさに、ヴィヴィは胸が締め付けられた。

「……――っ」

(ああ、やっぱり好き……っ!! 

 お兄ちゃんはいつも自分の事より、周りを気遣う人――。

 ヴィヴィずっと小っちゃい頃から、お兄ちゃんのそういうところ、

 憧れてて、大好きだった……っ!)

 ヴィヴィの小さな顔がくしゃりと歪む。

 もうどれだけ痛くても苦しくてもいい。

 早く最愛の兄の全てを受け入れ、一つに蕩け合いたかった。

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