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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第13章              

「大丈夫よ。2月の世界ジュニアをちゃっちゃと優勝して、4月の国別対抗戦で活躍すれば、絶対スポンサー見つかるわ! なんたって――」

 いやに自信満々にそう言ってのけるジュリアンはソファーから立ち上がると、双子の前まで歩み寄る。

 そして2人の頬にそれぞれ片手を添えると、上を向かせた。

「なんたって、私がこんな美少年美少女に産んであげたんですもの。貴方達が試合で活躍して企業のCMに出たら商品売れまくって、出演料ガッポガッポよ、ガッポガッポ!!」

「「………………」」

 金の亡者のようにそう言って高笑いするジュリアンに、双子はもう絶句するしかなかった。

((こ、この、守銭奴が――っ!!))

 2人は心の中で絶叫したが、さすがに今まで公私ともに苦労を掛けさせたジュリアンに、上がる頭もある筈がなく。

 ただがっくりと頭を垂れることしか出来なかった。





 後日――。

 リンクに向かう車の中でヴィヴィは双子のHPをチェックしていた。

 双子の日記を載せる際、載せて問題ないかをチェックしてもらうためにマネージャーに一度メールし、マネージャーがHPに掲載する手順を取っていた。

 それが正しく反映されているかをチェックしていたのだが――、

「く、クリスちゃん? 気のせいかな……? なんかHPのクリス’s DIARY、ヴィヴィのことばっかり書いてある気がするんだけど?」

 ヴィヴィがiPadの画面をクリスに向ける。そこには、



 1月1日

  ヴィヴィの晴れ着……可愛い。 写真:添付

 1月3日

  初詣でお賽銭を投げるが、賽銭箱に届かないヴィヴィ。 写真:添付

 1月5日

  冬休みの宿題が終わらなくて、焦るヴィヴィ。

  心を鬼にして答えを教えない僕。 写真:添付



 几帳面に1日おきに書き込まれたクリスの日記が表示されていた。

「……気のせいじゃない?」

 クリスは顔色一つ変えずそう言うと、自分の昨日の滑りを黙々と見直す。

「そ、そっかぁ……」

 邪魔しては悪いと思ってそれ以上追及できなかったヴィヴィだったが、その後もクリス’s DIARYはヴィヴィの観察日記となっていた。

 クリスに「止めて」と言っても「書くことないから……」とかわされてしまう日々が続き、ヴィヴィはしょうがなく対抗策を生み出した。

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