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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第72章             

 結局聞き返す勇気もなく、ヴィヴィは匠海の肩にこてんと金色の頭を預けた。

「…………、明日、帰っちゃうんだね……」

「寂しい?」

「寂しい……」

 その言葉がすっと出てきて、ヴィヴィはほっとする。

「3月の世界選手権で、また会える」

 匠海のその答えに、ヴィヴィの瞳が曇る。

(3月……か……)

「ヴィヴィ……、またお部屋、行ってもいい……?」

 兄の肩に頭を預けながら、ヴィヴィがぼそりとそう呟く。

「当り前だろう? 2ヶ月も我慢するんだから、いっぱい抱かせろよ?」

「…………、うんっ」

 予想通りの返事をした匠海に、ヴィヴィは持たれていた頭を上げると、兄の顔を覗き込んで、にこりと笑った。

「お兄ちゃん……、頭、撫でて?」

 ヴィヴィのそのおねだりに、匠海が苦笑しながらも、片手で後頭部を撫でてくれる。

「ふ……、ヴィクトリアは本当に、甘えん坊だな?」

「頭、撫でられるの、好き……。お兄ちゃんの掌大きくて、ヴィヴィ、とっても安心するの……」

 そううっとりと呟くヴィヴィに、匠海が悪戯を思い付いた様に、にっと笑う。

「ここは?」

 頭を撫でていた手が、その下のふくらみへと這わされる。

「お胸、撫でられるのも、好き……」

 薄い胸の皮膚を、それより厚い指の皮膚で撫でられると、気持ちいいのにぞわりとするのは何故だろう。

「ここは?」

 そう妹に囁きながら匠海が撫でたのは、未だ剛直を失わない陰茎を収めた蜜壺。

「もっと、好きぃ……」

 途端に甘い声を上げたヴィヴィに、兄はふっと笑う。

「ああ、いっぱい撫でてあげよう」

「うん。いっぱい撫でて? お兄ちゃんのこと、2ヵ月間忘れないように、いっぱい刻み付けて?」

 縋り付く様な瞳で兄を見上げる、ヴィヴィの胸の内は違うけれど。

(お兄ちゃんの躰が、2ヶ月の間、ヴィヴィの感触を忘れないように、いっぱい抱いて?)

「バカ……、そんなに可愛い事言って、寝かせてやらないぞ?」

 そう言ってヴィヴィのおでこに唇を寄せた匠海に、ヴィヴィは上目使いで見つめる。

「いいよ。朝まで、しよう?」

(そしたら、もう他の女を抱かないでくれる?)

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