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仮面男子は彼女を愛す
第6章 懐かしい匂い
たぶん、人工呼吸のおかけで息を吹き返したのだろう。それは良かったのだが、女の子がそんな状態であれば、ますます自分が変質者と思われてしまう。
「あぁ、そうだ!」
俺は助けを呼びに行かせた男の子を捜す。複数のおばさん集団の後ろのほうに男の子が居た。
「なぁ、ほら。俺が助けに行かせたんだったよな? 女の子が貯水槽に落ちてさ?」
と尋ねるが、大騒ぎする大人の女性達に圧倒されたのか、男の子は救急箱を両手で握り締めたまま、何も喋ろうとしない。