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第11章 秘密の共有者

そう話す黒野の顔は未だかつて見たことのない切ないものだった。

自身達を抱いてくれていた時さえ見せない表情。

それに加え神山は驚いた。躊躇うことなく黒野は眼鏡を外したのだ。

「お嬢様には事の重大さ…伝えて居られるのですか？」
「伝えるわけないだろう。報われぬ恋だというのは何れ嫌でも気付く。その時には俺が振られるよ。」
「それでは済まされません！」

声を荒げた神山。声を詰まらせながら黒野に続けた。

「もしこのままお嬢様がこの愛を貫こうとなさったら…黒野様はどうするおつもりですか。」
「…何を…」
「お答え下さい。どうするおつもりですか？」