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第14章 父の帰国～ベクトルが向かう先～

「社長、一旦帰ります。休暇で来てしまっただけなので。」
「そうか。また時間を見つけて食事会でも。」
「ありがとうございます。」

そんな中朝食を摂ると笑いながら片桐は皆に見送られて屋敷を後にしようかとしていた。

「黒野さん。」
「はい？」
「私、やっぱり好きになったみたい…」
「…お気持ちは嬉しいのですが…」

そう言うと近くに立っている愛良の肩をそっと抱き寄せた黒野は眼鏡を外した。

「昨日もお伝えいたしましたが私にはお嬢様が居ります故お応え出来ません。」
「クロ…？」
「私はこれから先もお嬢様の執事である事が私の誇りであります」

そして黒野はふっと笑った。