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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
「なんか……ゴメンね」
どうして、謝るの……?
そんな疑問に、僕の胸に顔を埋めた、寺井が静かに答えた。
「私って、やっぱさ。普通に女の子っぽくするの、苦手なんだ。可愛くもないし、色気なんかサッパリで。だけど、さあ……今、こうしてるのは、興味本位じゃないんだよ」
サラリとした黒髪が、僕の鼻先を擽ってる。
寺井は顔を上げると、僕の顔をじっと上目使いに見つめた。
「だから、わかってくれる――そしたら、ね」
そんな彼女に、僕は黙って頷き――キスをしていた。
何がどう「わかった」のか、なんて。明確な言葉には、できない――けど。
今はそれで、いいんだって思った。
たぶん、それは寺井だって、同じ。
そして僕たちは、二人が男と女であることを、確かめようとするのだ。