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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
※ ※
ピン――と、鼻先を弾かれた感覚を覚えて、僕は目を覚ました。
目覚めたからといって、それが朝ということではなくて。カーテンの隙間から差し込む陽射しは、随分と強烈だった。
眩しさに目を擦る僕に――
「おはよ」
寺井夏美は、いつもの感じのあっさりとした挨拶を告げる。
「あ、おはよう」
薄目で眺めた寺井は、ベッドの傍らに立つ。すっかり服も身に着けて、持参したバッグを片手に帰ろうとしてるみたいだった。
「起こさずに行こうと思ったけど。一応は――ね」
「う、うん……」
「では、原稿の方、お疲れ様でした――と」
寺井はそう言うや、クルッと僕に背中を向けた。
それを見て、慌ててベッドから這い出ようとして――
「うあっ……!?」
毛布に包まったままの僕は、床の上へと転がり落ちる。