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エブリデイ
第4章 欲しいの……
「……」
五脚のデスクが寄り集まっている、こじんまりとしたオフィス。窓を背にした席に座る私は、主を失って久しい他のデスクを眺めると小さなため息を、ふっと一つ。
もう休憩時間は、過ぎてるんだけどな……。
仕方なく席を立ち、私はオフィスを出て通路へと赴く。オフィス街に位置するテナントビルの4Fのフロア。其処が私が勤務してから既に十年になる、イベント会社の所在地だった。
企画部のオフィスから右に進むと、エレベータの扉に突き当たる。その前を通過し、更に細い通路を左に折れると社員が利用する談話室が設けられていた。
数人単位での簡易的な打ち合わせが、その主な利用目的である筈なのに。最近は専ら若手社員たちのエスケープの場と化しているのだった。
やっぱり、ね。
私はドアの窓よりその中を除き、その中に見慣れた三人の社員の顔を見つけている。彼らは何れも入社五年以内の企画部の男子社員で、つまり私の部下であるということ。
「ふっ……」
私はやや憂鬱に息をつくと、そのドアに向け軽いノックを施そうとした。
――が、その時である。
ハハハハ!
室外へと響く笑い声に、ふと手を止め。私は彼らの話に、つい耳を傾けてしまうのだ。