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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
あの夜、から――? 僕が繰り返し繰り返し、呪い続けたその夜の出来事を。
僕と同じく或いはそれ以上に、彼女も呪ってる――?
そして、それを全て僕のせいだと、彼女は言った。僕には、まるでなかった発想であり。だからこそ、彼女は僕が被害者でいようとすることが気に入らないと話していた。
そんなこと言われたって――と、正直に思う。当時十三歳だった僕が、だったらどうしていればよかったんだよ? 無理矢理にセックスをさせられて、確かに何度も射精していただろうけれど。僕の気持ちが、それを望んでいたわけがないんだ。
だからこそ僕は、精神と肉体との狭間であるとか――異性への好意と恋愛、その先にあるセックスというベクトルに、言い様のない矛盾を感じ続けてきたんじゃないのか――?
否――間違いなく、苦しみ続けていた。
なのに、それすら言い訳である――そう、彼女は言わんばかりに。
「あの時――ちょっと、思い出してみなよ」
「え……?」
「お前が狂ったように暴れて、その後の――部屋の中の光景を、さぁ」
あ……! そうだった……。
確かに僕は、自分でも信じられないくらいに暴れ――年上とはいえ女の人に暴力をふるっていて。彼女は前歯を失い、他の三人だって同じようなことがあるのかもしれない。
そう考え僕は、あの夜の――鮮烈な光景をはっきりと思い出した。
「……」
僕は呆然と、一人佇み。その周囲には、裸で倒れた血まみれの四人が――。
同時に、僕は心にあった、もう一つの傷を開く。
それは、今まで意識できていた心的外傷(トラウマ)とは別の――罪悪感とうい名の傷。
確かにそれが――僕の中に、あった。