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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

「どフだよ……わらフェんだろ……このかホ?」


 前歯のない顔をじっくり見せつけて、彼女はゴミでも捨てるように僕の髪を――ポイッと放した。


「うう……」


 僕は床に這いつくばり、それでも必死に彼女を見上げる。

 再び歯を口の中に戻すと、彼女はさっきまでより静かに語り始めていた。


「こんな安い差し歯じゃなくて、インプラントだっけ? せめてそれにしたいんだけど。飯は不味いし、商売にも影響するんだよね……」


 商売って……? そう見上げた顔に気づき、彼女は答える。


「此処に来る前、通らなかったか? ――繁華街に並んでる、ピンクの看板の店」


「――!?」


「そう――ピンサロ嬢ってわけ」


 事も無げにそう話すと、その視線は部屋の壁の方へ――ハンガーに掛けられている、濃紺のダブルのスーツを見つめた。


「ヤクザの下っ端の、その女なんて――そのくらいが、お似合いだろ?」


 自嘲したように笑い、しかし刹那、真顔となり。



「あの夜から始まった――転落の人生。それは全部――」


 冷め切った目をして――彼女は僕に言った。



「――お前のせい、なんだよ」



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