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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

 僕の視界はどんどんと歪み、意識は何処かへ飛んで行きそうになって――それでも。


「待って――」


 木織の声がして、何とか僕を引き留めてくれた。

 情けない僕に代わり、木織が彼女へ――挑んでいる。


「貴女が彼を責める権利なんて――ないと思う」


「どうして?」


「そんなこと――口にしなければ、わからないんですか?」


「だったら聞くけどさぁ。アンタは、あの夜にあったこと――どれだけ知ってる?」


「どれだけ……って?」


「そう、言えないよね。見てはないし、知らないもんな。その後で、ソイツからなんて聞いたかは知らないけど。それって、たぶん――かなり真実を、歪めてあるんじゃないの?」


「歪める――どういう風に?」


「つまり、さあ――確かにふざけ半分で誘ったのはコッチだけどぉ。その後で積極的に求めてきたのは、寧ろソッチの方だったってこと」


 彼女は床に這いつくばる、僕を指差し――。


「え……?」


 木織はとても意外そうに、短い音を発した。

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