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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
やはり、寂しかったんじゃないのだろうか?
だからこそ何時しか捩れ、付き合うべき相手だったり、その他いろんなことを少しずつ間違えた挙句に――なんて、想像することに意味なんてないけど。
それでも、彼女の示してくれた怒りが、僕にそんなことを思わせてくれたのは事実だった。
「交換、できないかな?」
僕は、唐突に言う。
「こう、かん……?」
その意図が伝わらないのは、当然。僕にしたって、よくわかった上で口にしてることではなかった。
けれど、それでも、とりあえず、僕は。
「そう、交換――罪を交換して、それでお互いの傷を埋めよう」
今の想いだけは、精一杯伝えてみようと思う。
昼下がりの雑然としたマンションの一室が、水を打ったように静寂に包まれていった――。