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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
でも暫しの時を経て、それを破ったのは高らかな笑い声だった。
「くっふっふっふっ、あはははははは――!」
一頻り笑ったこの部屋の主は、まだ狂気を宿した目で僕を見据えている。
「なに言ってんの? 意味わかんねーし、頭イカれてんじゃないのって思うけどねぇ」
「そうだね。自分でも少し、呆れてる――だけど」
「――?」
「顔を合わせるだけでも傷は疼くから、近くで支えることなんて――とても、できないんだ」
今でも、傍らでそうしてくれる木織みたいには、いかない。
「だからって、『許し合う』だなんて言えば、流石に綺麗事すぎると僕だって思うよ。だから――」
「だから――交換するの、か?」
そう呟いた彼女に、僕は黙ったままそっと頷く。