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エブリデイ
第2章 五度目の訪問
「――!」
そのしっかりとした筋骨に支えられ、私はよろめきかけた身体を立て直す。
細くても力強さを感じさせる、それは彼の――男の人の腕。
ドキドキと、した。だけど、それは私だけじゃないの……でしょう?
「だ、大丈夫?」
「はい……」
その短い会話の息遣いにも、私は彼の中の高鳴りの欠片を察している。それは確かに此処にあって、決して錯覚などではない筈。たぶん、彼も私と同じ気持ちで。
なのに――
「あ、ゴメン。トレイ、こっちに貸して」
「……」
彼はすぐに何事もないみたいに、それを隠してしまうから。
「ん、どうかしたの?」
「いえ……」
私はそれを、少し物足りなく思ってしまうのだった。