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エブリデイ
第2章 五度目の訪問
そのまま、暫しの時が流れ。
「じゃあ、俺。そろそろ帰るから」
彼は何時ものように、そう告げた。
「……」
「なに?」
つい黙った私に、彼は優しく問うけれど――
「ううん……別に、何でもありません」
私は軽く微笑むと、そう返した。
言葉とは、割と不便なものなのかもしれない。と、ふと思う。
否、それは勇気の問題?
私の中に燻る感情を、詳らかにする為には、とても強い言葉が必要だった。
だけども、私はこの夜も――それを口にできないまま終わろうとしてる。