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エブリデイ
第2章 五度目の訪問
彼の唇が、静かに離れ――て。
「サヨナラ――また、明日」
彼は私に、そう言った。
「……」
それを聞いて、私の胸に去来したものは――また明日会える喜びではなくて、今この瞬間に離れゆく寂しさだった。
やがて、バタンと音がしてドアは閉じると、彼の五度目の訪問は終わる。
そうすれば、部屋に残された私の目の前に広がるのは――何時もの闇。
否、それはきっと、何時もよりも、もっと――暗い。
急に――それが怖くて、私。
「待って!」
両手を、彼の頬に添え。懸命に背伸びする、爪先。そうして、届かせた唇。それを、ギュッと強く。
私は昂る感情を詳らかにするように、その舌を彼の口の中へと差し込む。
自分自身――無我夢中のことだった。