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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
「ねえ――手、止めないでくれない!」
突如として差し向けられた厳しい言葉と視線に、僕は思わずビクリとする。
「あっ……ごめん」
挙動を乱した僕に、寺井は真顔で諭すように言った。
「あと、二枚だから。集中して、どうぞ」
「わ、わかってるよ……」
ムスッとしながら答えたのは、バツが悪かったから。でも、まだまし。どうして手を止めていたのか、それを訊かれていたら返答できなかったろう。
そんな僕の心理を実は、見透かしたものか。
寺井はため息をつくと、こんな風に言った。
「何かあるのなら――全部、終わってからにしよ」
「何か……って」
「別に……思い当らないなら、それでもいいし」
「……?」
またしても寺井の言動が、僕の頭を空洞化させた。