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第10章 旅立ちの朝、舞い散る桜

　悠を乗せた電車は静かに動き出すと、急激に速度を上げてゆく。



　そしてあっという間に、電車は風香の前から走り去ってしまった。



　電車がいなくなった線路の向こうには、相変わらず桜の木々が、いつもと変わらぬ様子で花を散らしている。

　そんな風景を、風香はまるで魂が抜けてしまったような気分で、黙って見つめていた。