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桜舞うあの日のままで
第11章 風香と陽子
 陽子の言うことにも一理あると認める風香。

 だが、それでも、掛川のことを思い浮かべても高鳴らない風香の胸が、悠のことを少し思うだけで高鳴ってしまうので、風香は自分の気持ちをはっきりと自覚していた。

「じゃあ……いずれ、悠にしっかり気持ちを伝えるから」

「風香、いつも『いずれ』って言ってるじゃん~。具体的にはいつにするの?」

「そ、そんなこと言われても……」

 目をキラキラさせながら、身を乗り出して聞いてくる陽子に、ややたじたじとなる風香。

 すぐ身を引いて苦笑を浮かべた陽子が、弁解するように言った。




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