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桜舞うあの日のままで
第14章 夏休み直前、悠と真奈美
 これまでにも数度、真奈美が半ば強引に、悠の部屋へと押しかけてくることはあった。

 そしてその際、冷蔵庫にしまっておいたパンやプリンなどを、真奈美が「欲しい」と言って聞かず、悠が渋々ながら真奈美にあげたことが何度もあったため、こういうリアクションとなっていたのだ。

 悠が苦笑いを浮かべたまま、はっきりと言った。

「また冷蔵庫の中のものを奪いに来るわけか!」

「悠、ホントに失礼ね! その分、お返しとして、何度もお昼をおごってるでしょ」

 真奈美もおかしそうに笑いながら言い返す。

「『何度も』って言うけど、二回だけだろ!」

「それはそうだけど」

「あ……。あっさり認めた」

 二人は笑い合った。




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