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桜舞うあの日のままで
第17章 冬休み
 しかし次の瞬間、風香の心に暗雲が立ちこめた。

 風香は、「もしかしたら、悠はやはり真奈美さんのことが好きで、俊樹君と真奈美さんの距離が近づいたことに焦っているのでは」と思ったのだ。

 風香が恐る恐る悠の様子を確認したとき、悠が言った。

「やっぱり風香もそう思ったか」

 悠の言葉がそこで途切れたことが、風香の心配に拍車をかける。

 沈黙が怖くなった風香は、すぐさま話題を変えた。

「そういえば、初詣の予定はあるのかな? よかったら、今年も一緒に……どうかな」

「もちろん、よろしく!」

 元気に言う悠の様子を見て、「もしかして、真奈美さんへの思いを私に悟らせまいと、空元気を出してる?」と捉える風香。

 胸がつぶれそうなほどの苦悩に襲われる風香だったが、努めて平静を装いながら、年末年始の予定など、たわいもない話を続けた。




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