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桜舞うあの日のままで
第18章 再び桜の季節
「何かあったのか?」

 電話の向こうから、悠の心配そうな声が風香の耳に届いた。

 LINEを送ってから、僅か数十分後、悠が電話をくれたのだ。

「あ、そんな、別に急ぎの用事ではないの……。ただ、ちょっと、お願い事があって……」

「ん? 何だ?」

 一呼吸おいてから、風香が続けた。

「悠、あの約束のこと、覚えてる? 『また、悠の部屋で一緒に桜を見よう』っていうの」

「ああ! そういえばそうだったな! 俺はまたもうすぐ帰郷するから、そのときにでも一緒に見るか!」

「ありがとう! あとね……。すごく言いにくいんだけど……もう1つ、約束、覚えてるかな?」

「え?」

 そこで言葉を切る悠。




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