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桜舞うあの日のままで
第18章 再び桜の季節
 少しうなるような声をあげた後、悠は白状した。

「悪い、忘れたみたいだ……」

「ううん、気にしないで。その……こんなことを私のほうから言い出すのは、図々しくて本当に申し訳ないんだけど……。悠と私がテスト結果で競争をして、その後……色々あって、悠が『自分に出来ることなら、何でもするから、遠慮なく言ってくれ』って……」

「ああ、思い出した! すっかり忘れてて、ごめんな!」

 ばつが悪そうな声で誤る悠が続ける。

「で、何か思いついたんだな? 俺に出来ること」

「うん。えっと、申し訳ないんだけど……私たちの誕生日、もうすぐでしょ。だから……悠の誕生日は、悠がもう何か予定を入れてしまっているかもしれないけど……私の誕生日だけは、また一緒にお祝いしてくれないかなって。出来れば、悠のお部屋で……。そのときに、『一緒に桜を見る』っていう約束の方も果たしたいなって」

「何かと思えば、そんなことか! その日は何も用事がないし、大学もまだ始まってないから、大丈夫だぞ。で、俺の他に誰か呼ぶのか?」

「あ、ううん、悠だけ。他の友達は忙しいっていう話だし」




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