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訳あり探偵事務所『Grayer』
第2章 閉ざされた門

彼の左隣には扉がある、この先は倉庫になっているらしい、彼はブツブツと何かを呟くとこちらを見つめた



「お前でイイ」

「は?」

「よろしくなァ へ、へへ、へへー」


ろくに会話も出来やしない、何がイイのかよろしくなのか…、でもその二言だけで感じた事があるとすれば、

標的がさっきの子から、私に変わったという事


となるとぼーっとはしていられない

この男から一刻も早く逃げなければならない


「んんんふふ、んん……ふふふ」


彼はそう不敵に笑うと慎の両腕を掴み すぐ真横にある倉庫の中へと連れて行かれた

彼は思いの外力が強く、なかなか振りほどく事は出来ない


「く…ぐっ…」


倉庫の中は数年は手を付けられていないような感じで、ホコリが少し舞っている。

棚がいくつかあり、机のような浅く大きい箱の中には、工具や木の板、使い捨てられた道具等が乱雑に入れられていた

彼は箱からガサガサと音を立てて物色するとそこから縄を取り出し、両腕を後ろ側で縛り上げられた、
彼の力量からすると、どう足掻いてもこの倉庫からは出られない

顔を歪めは小さく呟いた

これは……



「詰んだ…」

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