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第1章 Ｖｏｌ.１

「う…そ、そのぉ…」

何も言えない。
剣で勝負しろと叫びたくなる。

だが、それはここでは『闘技場にてトランプで勝負しろ』と場違いなことを言っていることと同じだ。


「ふむふむ、いやぁ悪いこと言っちゃったねぇ。まさか貴公が失敗するはずないと思ったからさぁ。みんなもそう思うだろ？」

完全に僕をバカにしていた。
そして、伯父上をも貶している。伯父上がいた部隊がドラゴン達を野生化させたことで終戦後もイヴァリスを危険にさらしていることも遠まわしに言っているのだ。


「だ、大丈夫だよ。誰だってコンディションが優れないときがあるんだ」

「そうだよ。レイン君なら…い、いつかは……ねぇ…」

ザンデに同意を求められたクラスメイト達が気まずそうに僕を励ましてくれるが……




正直……限界だ。
僕だけならまだしも、みんなのために命をかけて戦い、戦死した叔父上をバカにするなんて！
このまま彼は敗走して生き延びた父上のことまで中傷しそうだ。


「お、おい！」

ザンデやクラスメイトは止める動作を見せたが、僕は無視して教室を…学校を飛び出していた。