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頓田森君子さんの日記

とある実家へ
[作成日] 2016-08-16 22:05:58
たまたま近くに用事があり、実家へと立ち寄った。
私の実家ではない、ロック歌手尾崎豊の実家である。お盆だというのに、私も親不孝だ。

住宅街に入るとドキドキした。本当に昔ながらの風景で、半分開いた窓からは部屋の中が見え、そこからは日常を覗かせる。だが、その隙間には真新しいお洒落なアパートもあった。私は立ち話をする二人のお婆ちゃんに声を掛けた。

「尾崎豊さんの実家って何処ですか?」

「あっ、あぁ、豊ちゃんの家ね。そこそこ。でも、もう亡くなったわよ」

彼女からすれば亡くなった人の実家を訪ねるのはおかしな行動なのだろう。確かに可笑しい。

「はい、もう二十年近くなりますよね。会った事はあるんですね!」

「そりゃあね。ねぇ?」

彼女は隣のお婆ちゃんに声を掛けると

「私は知らない!」

と頑なな返事。嫌な思い出でもあるのだろうか?お礼を言ってその場から離れると、間髪入れずに井戸端会議が再開される。耳を澄ましたが、豊ちゃんの話題ではなかった。

考えてみれば尾崎豊がまだこの街にいた頃はあのお婆ちゃん二人もお母さんだったんだな。当たり前なんだけど、もう歳をとらない尾崎豊をイメージすると、この辺りの認識が微妙にズレる。先ほどすれ違った家の前で竹刀を素振りする白髪のお父さんも尾崎とは同級生かもしれないし、古い家だし、幼なじみかも知れない。話を聞きたくなり、慌てて戻るも、もうその姿はなかった。

門の前に立った。普通の昔ながらの二階建て。縁側と物置があり、ベランダがある。なんとなく場違いなケーブルテレビのアンテナが見える。あれが尾崎の部屋かな?

かつてこの門の前で尾崎豊は奥様とのツーショットをスクープされている。覚醒剤で逮捕されたのも確か実家だった。

現在はもぬけの殻であるが、入り口の植えられた門松は最近ではないが手入れされた跡がある。表札には御父様の名前があるが、豊の文字はない。そのせいではないが、尾崎豊を感じる事はなかった。

いや、出来なかった。

それにしても、この中には一体どんなお宝が!!もちろん主なき家は締め切ってある。ただ有名人の実家にしては無防備だ。

もちろん、そんな気はないけど。

誰か警察呼んでくれないかなぁ、怪しい人物が居ますよ。何故なら駅から遠いんだよね。

忙しくて暫く放って置いたけど、微妙に増える拍手に感謝しつつ、再開します。



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