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こんばんは。

　これを更新している時、ふっと思い出しました。
　もしかしたら、ご存じかもしれないけど、
　吉原の名所の一つには桜並木の植わった大通りがあります。　
　満開にすべての桜が咲きそろった様は壮観だといわれていましたが、実は
　これらの桜はすべてが偽物です。

　もちろん、造花ではなく本当の花ではあるのですが、　　
　元々その場所で咲いている花ではなく、よそで咲いていた桜の木を
　まるごと引っこ抜いて持ってきて植えるのです。

　だから、盛りが過ぎると、また引っこ抜いて捨てます。

　そして、その後には菖蒲の花をまた同じようにして持ってきて
　植えるのです。

　初めて、この事実を知ったときは、あまりの贅沢に呆れました。

　でも、考え方を変えてみれば、これほど哀しいこともありません。
　遊女は客と夜毎、偽りの恋の花を咲かせますが、
　吉原という場所では、自然に咲く花さえも、こうした偽りのものなのだと
　思いました。


　それはまた苦界と呼ばれる女の生き地獄で生きる遊女達の哀しい宿命にも

　似ています。遊女もまた女としての盛りの時期を過ぎると
　商品としての価値を失い、吉原の桜のように生きたまま
　引っこ抜かれる－用なしとなり、惨い末路を辿ることになります。



　晴れて年季が明けて吉原の大門を出ていく遊女は殆どいないとわれるほど
　彼女たちの運命は惨いものだったといいます。　

　

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