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こんにちは。

　このお話は以前にもしたかもしれないのですが、

　吉原大門を晴れて自由の身になって出て行く遊女は稀であった
　といいます。

　大抵は体を酷使して病気になり、ろくな治療も受けさせて貰えないまま
　若くして亡くなるということが多かったようです。

　遊女には葬式も墓もありません。
　死ねば、投げ込み寺といって、寺に骸を投げ込んで、それで終わり。
　後は無縁仏として、どこの誰とも知れぬままです。

　そんな中で、松風のような幸運な女も江戸時代にはいたと
　いわれています。

　だから、廓の女たちは皆、松風のように
　いずれは誰かに望まれ晴れて大門を出てゆくことを夢見ていました。

　また、せっかく年季を無事に勤め上げても、
　やり手のおしがのように実家には今更帰れず、
　また長年の廓暮らしで他の仕事もできなくて、
　結局、遊廓で働き続けて一生を終えるしかない女もいたのです。

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